2017年12月28日三陸沖地震の被災地、石巻市を訪れました。
災害の2011年3月11日から7年。
そこに住まう方々はどのように7年間を過ごされたのか。
どのような想いを経て、今を生きて居られるのか
エスティビジョン取材チームは、雪の中石巻市に向かった。
エスティビジョンの西川、小原、私、3人で車に取材機材と
撮影カメラ、ドローンなどを積み込み6時間
出発した時間は悪天候だったが、徐々に青空が見え始め、
雪と青空のコントラストが良いアンバランスを醸し出していた。
到着するとあるご夫婦にインタビューが始まった。
入籍、結婚披露宴の予定日
その2ケ月前に突然の大震災と両親の行方不明。
曇りない未来に突き刺された現実。
7年という時の重ねを経てご夫婦は、何を見て、何を感じ、今を生きるのか
私は涙を流しながらしか、インタビューを続ける事ができなかった。
自分は両親を亡くした事もなく大切な人との死の悲しみの経験もない。
こんな、私が何を解かるのか?
解かるはずがない、そう思いながらも涙が止まらない。
ご主人を支える奥様の献身、震災と死と無とのご夫婦の葛藤。
でも、でも、そこに住まう人々の覚悟と、
生きる根底のエネルギーを見つける事が出来たことは、私の想像を超えるもの。
たとえば、悲しみは喜びや祝い、笑いでしか、超えられないというご主人の言葉。
それは、笑って亡くなった人の分まで明るく生きよう。
美味しいものを食べたら、心からありがたいと思い、それを表現しよう。
壮大な美しく圧倒的な海や山や空を見たら、それを、何よりも感謝しよう。
それを、見ている自分にありがたいと言葉で発しよう。
石巻市は未だ行方不明者が2000人を超える地域です。
でも、住まう方々は、未来に向かってしか歩んでいません。どの方々も
未来を生きているように見えます。
石巻市は、海のある素晴らし場所です。
新鮮な海産物も豊富でそれを、熟知し、
海からの贈り物という輪廻転生を芸術的な技で
体現している寿司職人。
石巻市という被災地の、根底に流れる底力を見ました。
そのお店は、玄関に甲板はありません。
日本らしい生真面目な格子の入り口があるだけです。
海に生きる魚達海の産物に対する敬意と研究が極まっています。
お寿司という料理方法で海からの贈り物を、輪廻転生している
寿司職人という芸術家に初めて会いました。
その芸術家の探求の深さ故、見たことも味わったこともないお寿司を食べました。
たとえば、海老という食材・・・誰がこのような海老の自己実現を考えましたでしょうか?
もし、私が海老で、海から飛び越えて、人間の食となり、血となり活力となるとしたら、
こんなに、栄誉な設えはありません。
海老として美味しいだけではなく、頂く私もありがたいのです。
この「心ある寿司」は、たった私の53年の人生でも始めての感動でした。
シンプルに「世界中の方々に、この日本の食という原点の芸術を食べて頂きたい」と感じました。
これからも、なんども訪れてここに住まう方々に取材を続けていきます。