当企画は、阿久津五代子が、共に歩んだ女性の人生にエールをおくるエピソード集。
結婚や出産の道、独自の才能を極める道、様々なキャリア構築の中で起こる挫折や葛藤。どのように人生の選択をしてきたのか、前向きに取り組む女性を紹介します。
第2回でご紹介するのは、ハセガワエスティでブライダル司会者のキャステイング業務を担当する高木里佳さん。もともとは彼女自身も司会者として、現場で働いていた方です。
現在59歳。プライベートでは女手ひとつで立派に息子を育て上げたシングルマザーです。
幼い頃から20代前半までバレエ一色の人生を送ってきた高木さんが、バレエをやめるきっかけとなったのは結婚でした。24歳で結婚し、それを機にバレエは引退。すぐにお子さんを授かりました。
20代半ばでシングルマザーに…。「やっていける自信があった」
ところが出産後、1年ほどで岐路に立たされました。離婚をすることに迷いはなかったと言います。
20代半ばでシングルマザーとしての道を選択した高木さん。一人で子どもを育てていくためには、当然仕事をしなくてはなりません。
最初は一般企業で事務職をしていましたが、ある時友人から、ブライダル司会者という職業を勧められました。
昔から美人だった高木さんですから、友人が人前に出る仕事を勧めたのも納得です。
そこから25年間、高木さんは司会者として現場で活躍を続けながら、息子さんを文字通り女手ひとつで立派に育て上げたのです。
シングルマザーとして不安はなかったかと尋ねると、高木さんはあっけらかんと「なんとかやっていける自信があったんです」と答えてくれました。
子育てはお母様がかなり協力をしてくれたので、シングルでもさほど困ることはなかったそうです。
しかし経済的な安定のためにプロ司会の仕事を極めました。
司会のマイク一本で、息子さんを見事に大学まで進学させました。
「大変な事もあったけど、なんとか乗り越えられました。それにうちの子、すごくいい子なので手がかからなかったんですよ」と、笑顔で語る高木さん。
息子さんは現在、結婚して子どもにも恵まれ、高木さんはおばあちゃんになりました。
60になっても70になっても、限界に挑戦してほしい
53歳の時に現場を引退。今は本社でキャスティング業務を担当しています。
おそらく、高木さんより下の世代の司会者さんたちも「仕事はずっと続けたいけれど、現場の司会はいつまでできるだろう」という不安もあるかもしれません。
そんな彼女たちにとって、現場を引退してからも社内で働き続ける高木さんがロールモデルになればいいなと考えています。
現在59歳。60を過ぎても70になっても、どうか限界に挑戦し続け、他の司会者たちに夢を与える存在でいてほしいですね。
経験が豊かだからこそ、下の世代を支えられるキャパシティがあると思っています。
ここまでの道のりは決して平坦なものではなかったはずです。
しかし高木さんがさまざまな困難を乗り越え、こうして笑顔で過ごしているのは、ブライダル司会者として、土壇場を切り抜ける力を培ってきたからかもしれません。
司会者たちは、お客さんから喜ばれたり感謝されたりした経験が蓄積し、それが肥やしになっていきます。
そこに根っこがしっかりと張られ、滅多なことではぐらつかない強いメンタルができていくのでしょう。
阿久津五代子
2022年12月23日